小松高校「3年学年会週末通信」7月2日号原稿依頼を受けて

2010.6月

  カントの言葉
 
 カント( Immanuel Kant )は、18世紀ドイツの哲学者です。高校の時、倫理(当時は倫社)の授業で

勉強したのが、私の最初の「カント体験」でした。文系クラスの受験生だった当時の私にとって、カント

哲学のどこが好きになったのかというと、ルソーの影響を受けた独特の自由論でした。それを、カント

自身の簡単な言葉で紹介すると、「本当の自由とは、自分でつくったルールに従って生きることにある」

というものです。

 まさに、「目から鱗(うろこ)」でした。なぜかというと、普通誰でもそうでしょうが、その頃の私も、「ルー

ルに従うこと」イコール「不自由なこと」だと思っていたからです。自分でつくったルール、または、自分が

納得できるルールならば、それに従って生きることにこそ、本当の(つまり、自分の持ち味が発揮される

とともに、社会というチームの一員として生きる上での)自由がある。この考え方は、小松高校のモットー

「自主自律」の「自律」(自分で自分を律する)につながるものでもあります。こんなカント思想に触れたお

かげで、私は受験勉強が不自由なものだと思わなくなったし、それまでほど嫌でなくなったのを覚えてい

ます。

 さて3年生の皆さん、「人生最初で最後の夏」が始まります。自分でつくったルール(目標としての志望

校と合格のための手段)はありますね。厳格に公平な、大学入試制度というルールに納得できています

ね。そして、豊かな人間性にもとづく、満足のいく進路実現のための、確かな学力を身につけるための

小松高校のルール(服装容儀や交通マナーなどのきまり、模試や夏季補講)にも従えますね。そんな君

たちこそが、本当の自由を手にしているのです。大学に行けば、「次のルールと自由」が待っています。

それを励みに、一日一日の「松高ライフ」を大切にしてください。

 以上で、巻頭言(カントの言<げん>!)を終わります。             

32H副担任 向出